Beast Love
「せっ、先生? 教室ってコッチで合ってるんですか?」


本館からは離れていくことに一抹の不安を感じてそう尋ねると、宇佐美先生はふわりと笑った。


「合ってるわよ。んー、そうね。先に説明しておきましショうか。貴女の編入するクラスは、ちょっと変わってるの」


ちょっと変わってる、という言葉に、胸の不安は更に大きくなる。


だって、さっきから建物の様子がオカシイんだもん。



白い綺麗な壁から……コンクリートが剥き出しで、カラースプレーで落書きだらけの騒がしい壁に、変わってきてるのだから。



こんな廊下は、テレビドラマとかでよく見る不良が巣食うクラスに繋がる廊下であると、相場が決まっている。



「変わってる、って……何が変わってるんですか」



恐る恐る尋ねると、宇佐美先生はクスッと妖艶な笑みを浮かべた。


「そうねぇ〜。”野獣がたくさんいる”、とでも伝えておこうかしら」


「や、”野獣”?」


「あ、でもノゾミさんはきっと大丈夫。女の子だし。アイツら、女の子に暴力は振るわないはずだから」


「ぼっ、暴力ぅ?!」
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