Liebe


「そしてこれをいただいたんです!」

後ろ手に持っていたオルゴールをじゃじゃーんとウィリアムに差し出す。
ウィリアムはそれを見つめ、エリーを見た。そしてふっと笑った。

――笑った。

エリーは思わずぽかんとしそうになったが、そのリアクションはあまりに失礼だ。
差し出していたオルゴールを持ち上げ、笑いかける。

「招待状です」

「……もう、そんな時期か」

「そうなんです!」

力いっぱい肯定する。
このまま押していけばきっとウィリアムも祭りへ一緒に行ってくれるだろう。

「行きたかったら行けばいい」

「へ?」

「アンナやダニエルは間違いなく行くだろう」

連れて行ってもらえ、とでも言うような言い方をする。

違う、そうじゃない。
エリーはもどかしげに首を横に振った。

「違います、ウィリアムさん」

「……何がだ?」

「ウィリアムさんと行きたいんです! お祭り!」

「は?」

ウィリアムが固まる。
そんなに予想外だったのだろうか。エリーは心配そうにウィリアムを見つめる。
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