弟はドラゴンで



「り、凛って、恋愛経験豊富そう……だね」


「一度ね、すっごく好きだった人がいたの。その人から学んだって感じ♪」




……凛って、天然な面も多いけど、すごく繊細で、物事を感じとる力が人より数倍強い気がする。


私が知らないこと……色々知ってるんだろうなぁ。




「付き合わなかったの?」


「……付き合えなかったの」




あ……余計なこと聞いちゃった。




凛は、少し視線を下にそらした。




「ご、ごめんっ」


「んーん!全然!私が悪かったの」


「……?悪かったって……」


「……すごく、いい感じだと思ったんだけどね。デートもしたし、付き合ってもないのに手なんか繋いじゃって。これでもかってくらい好きになって、いざ告白してみたら、きっぱり断られちゃった。彼女がいたんだって、そんなの知らなかった」


「え、騙された……ってこと?」


「まぁ、そゆことだよね。でも、ちゃんと詮索しなかった私も悪いの。いい感じだと思いすぎて、彼女はいないものだって勝手に思い込んじゃってたから」




引き寄せるだけ引き寄せといて、最終的に裏切るなんて……。


遊び目的だったってこと?


そんなの……





「……そんなの、凛は悪くないでしょ……」




凛の過去を聞いて、怒りがこみ上げてきそうだった。




「あは、ありがと♪こんな話したの初めて!」




でも凛は、にぱっと笑顔でそう言う。




「……ごめんね、なんか、話させちゃったみたいで……」


「ううん!ありがとう、聞いてくれて」


「そんな……」




凛に、嫌なこと思い出させちゃったな……。


こうやって私には笑ってくれてるけど、瞳の奥はすごく……悲しそうで。


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