恋は、秘密主義につき。
4-3
残念ながら、朝からすっきりしない曇り空。でも、鼻歌でも出そうなくらいの浮かれ気分で、待ち合わせた一実ちゃんと午後から都心のショッピングビルへ。

今日の彼(彼女)は、ペプラムブラウスとタイトめなスカートの装い。足許はブーティで、中性的な危うい可愛さを備えている一実ちゃんによく似あっています。
隣りを歩く私は、フリルブラウスにサーキュラースカート。多分、誰の目から見ても、一実ちゃんが年上の引率者になると思います。

征士君への誕生日プレゼントを見繕うためにショップをめぐりながら。
あれからどうしたのかと昨晩のことを訊かれたので、ありのままを話すと。

「えっ? なに?、・・・それだけ?」

「はい。それだけです」

目を何度か瞬かせて真顔になった一実ちゃんに、私はにっこり笑って。

「車を降りる時もちゃんと目を合わせて『お休みなさい』を言ってくれましたし、頭も撫でてもらいました」

「・・・・・・犬と変わんなくて、どーする!」

ずい分と低い声で呻ったあと、何故か舌打ちが聴こえたような。

「あのヘタレオヤジ、なにやってんのっ」

何だか一実ちゃんが一人でブツブツ言ってます。
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