恋は、秘密主義につき。
時間より早く、いつもの外車で到着した征士君をママは上機嫌で迎え。
薄手のジャケットを羽織り、少し大人びた雰囲気の彼も「レイちゃんをお借りします」と、爽やかな笑顔を向けます。


「今日は普通のデートをしようと思って」

大きな通りに出て、車を市街地方面に走らせ始めた征士君が悪戯っぽく、横顔に笑みを覗かせる。

「映画観て、あと買い物とか。夕飯は俺の部屋でレイちゃんと一緒に作って食べる。どうかな?」

「征士君の誕生日のお祝いですから。征士君がしたいことを叶えたいです」

私がそう笑い返せば、本当に嬉しそうで。

「手、つないでいい?」

ハンドルを握っていない方の掌を差し出された。
そっと上から私も重ねると。指が絡みました。
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