そのままの君が好き〜その恋の行方〜
晩秋というか初冬に入った勤労感謝の日。私のかけがえのない大親友である水木悠と白鳥徹先輩の結婚式の日を迎えることとなった。


遡ること、6年前の11月22日。先輩の19回目の誕生日にお互いの想いを通じ合わせた2人は、残念ながら、1日ズレてはしまったが、思い出の季節に式を挙げることになった。


もっとも、悠は既に1年半ほど前から「白鳥悠」になっている。大学卒業間近の暮れ、悠は先輩の子供を身籠っていることがわかり、周囲を驚かせた。


ちょうどその時期に行われた私達のクラス会を、悠は体調不良でドタキャンしたのだが、それは風邪とかではなく、悪阻だったのだ。


結局、悠は決まっていた就職を辞退して、大学卒業と同時に入籍。先輩の奥さんになった。


「今のご時世、社会経験もなしで家庭に入るのは、どうかなって思うけど、これも運命だよね。」


例によって、ニコニコと笑顔を浮かべて、そんなことを言う悠からは、後悔の色は微塵も感じなかった。


暑い盛りの8月に、長女の舞ちゃんを出産して、早くもお母さんになった悠は、新聞記者として多忙な日々を送る白鳥先輩を支えながら、幸せな家庭を築いている。


そして、今日の良き日を迎えることになったのだ。


結婚式がここまで、ズレてしまったのは、舞ちゃんが1歳になるのを待っていたのと、招待したい友人に何人もの、現役プロ野球選手がいるし、今の先輩の仕事柄、プロ野球シーズンオフでないと、時間が取れないという現実から、この時期ということになった。


「それにしても、かっ飛ばしすぎだよね、悠は。」


「うん、私なんか未だに、彼氏も出来ないのに、もう2人目ってさ・・・。」


これは今日聞いたビッグニュースだけど、悠のお腹の中には、第二子がいるのだという。おめでたい話だが、少々驚く。


私と由夏、それに沖田くんと塚原くんの4人は今、受付で、披露宴の招待客の到着を待っている。


それに先立つ式に参列した私達は、厳かな雰囲気の中、悠と先輩の門出を見守った。


指輪を交わし、神前式では異例の口付けまで交わし合って、永遠の愛を誓い合った悠と先輩。その2人の姿はやっぱり感動的で、いつかは私も、と思わずにはいられなかった。
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