そのままの君が好き〜その恋の行方〜
仕事始めの4日から数日は、取引先への挨拶周りに追われた。俺達はカレンダー通りだが、取引先は元日から営業してるところが多い。ご苦労なことだ。


年末の某取引先とのコラボは、なんとか目標は達成出来たようだ。これを他の取引先にも今後拡大していけるかは、本部担当の腕の見せ所ということになる。 


挨拶周りも一段落した頃、三嶋が声を掛けて来た。


「沖田さん、今夜ご飯一緒に食べませんか?」


「俺は構わんけど、珍しいこと言うな。彼氏に怒られないのか?」


「いいんです。アイツだって、好きにやってるんですから、私だけ良い子になってる必要ありません。」


「三嶋・・・。」


「だいたい、私と沖田さんは、そんな関係じゃないんですから、これからは後輩として、もっと気楽に甘えさせてもらうことにします。それに・・・。」


と、ここで三嶋はイタズラっぽく笑うと言った。


「お正月休みの成果をまだ、報告してもらってません。」


コイツ、すっかり俺の恋の指南役にでも、なったつもりらしい。


「わかった、でも割り勘だぞ。」


「えっ?」


「彼女でもない奴にご馳走する義理はねぇよ。それにその方が、お前だって、彼氏に対して、後ろめたい思いしなくていいだろう。」


「は〜い、わかりました。」


とふくれ気味に答える三嶋。可愛い奴だ。


シャレたレストランなんて、間柄じゃないから、行ったのはチェーン店の居酒屋。


「今日は、酔っ払らっても、送ってかねぇからな。自重しろよ。お前、重いんだから。」


「酷い。それ、年頃のレディに言う言葉ですか?」


「誰がレディだ?」


三嶋と話してると気楽で面白い。妹といるみたいだ。


「ところで、桜井さんとはうまくいったんですか?」


とりあえず、ビールで乾杯が済んだ途端、斬り込んで来る三嶋。


「お正月休みで、デートしたんでしょ?」


「お前は勝手に勘違いしてるんだ。高校時代の仲間6人で、初詣に行っただけだよ。」


「えっ、いい歳して、グループ交際ですか?」


「バカ。夫婦一組、カップル一組プラス俺と桜井さん。」


「変なの。」


不思議そうな声を出す三嶋。
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