そのままの君が好き〜その恋の行方〜
「他二組がくっついてるのに、沖田さん達だけ、ダメなんですか?」


「別にダメとかじゃねぇよ、まぁ・・・いろいろあるんだよ。」


「いろいろって?」


「三嶋・・・。」


「おかしいです。私が見る限り、沖田さんと桜井さんは、絶対に相思相愛です。なのに、どうしてそんなに臆病なんですか?2人とも。」


そう言って、まっすぐ俺を見てくる三嶋。年下のコイツに恋愛相談するって変だよな。それにコイツ、なんでこんなにムキになって、俺達のことにクビ突っ込んでくるんだ?


「実は・・・俺1回、桜井さんフッてる。」


「えっ?」


「俺、忘れられない奴がいる。もうどうやっても、手が届かないのに・・・。どうしてもその娘が、消えない。それを承知でコクってくれたんだけど・・・。」


って、結局話し始めてる俺。誰かに聞いてもらいたいのかもしれない。


「今回も最後は2人で食事をした。お前の言う通り、俺の中で、桜井さんの存在が少しずつ大きくなっているのはわかってる。桜井さんも俺が何か言ってくれるのを期待してくれてたと思う。でも言えなかった・・・。」


「沖田さん・・・。」


「あの娘が消えないんだ、どうしても。それに桜井さんは・・・俺じゃ、やっぱり役不足だよ。荷が重すぎる。彼女、昔から頭よくて、スポーツも得意で、今や厚労省のキャリア官僚だ。住む世界が違う、違い過ぎる。」


「それ、本気で言ってるんですか?沖田さん。」


その三嶋の冷たい口調に、俺はハッと彼女を見た。


「意気地なし!」


「三嶋・・・。」


「沖田さんが、そんな弱虫だとは思わなかった。幻滅です!」


三嶋の厳しい言葉と視線に一瞬たじろぐ俺、でも・・・。


「三嶋、お前に何がわかる。愛情があれば、何でも乗り越えられるなんて、幻想だ。世の中には、釣り合う、釣り合わないということが、現実にあるんだ。身の丈に合わない相手との恋愛で、傷つくのは、もうたくさんなんだ!」


その俺の吐き出すような反論に、逆に三嶋は言葉を失った。


「すまん、興奮してしまって。桜井さんには、また連絡してもいいか、とは言った。メールのやり取りも続けてるし、また誘ってみようとは思ってるけど、今、彼女は凄い忙しいみたいで・・・なかなか難しい。本当に彼女が、俺にとって身の丈に合わない相手なのかを見極める為には、焦らず、ゆっくりやってくしかなさそうだ。」


俺は自分に言い聞かせるかのように、言った。
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