legal office(法律事務所)に恋の罠
あれから5年目の春を迎えた。

さまざまなケースに対応し、いろいろな人を見てきた。

゛やはり男は頼りにならないし、関わり合いにならないに越したことはない゛

それが和奏の感想だ。

もちろん、女性であっても問題が多い人もいる。

そんなケースは、いくら女性であってもお断りした。

弱いものを助けるというスタンスは変わらない。

でも、男性の弁護だけは無理だ。

゛安易に私には近づかないで゛

と思う。

和奏の中の例外は、山崎庄太郎と湊介だけ。

和奏を見守り、育て、支えてくれる。

だからといって、男性アレルギーというわけではない。

男性との交際経験もあるし、初体験だって済ませた。

はじめは好意を持ってくれた、気の合う優しそうな人だからと、安易な気持ちで付き合った。

それが互いを傷つけ、悲しみだけを残す結果になるとは・・・。

和奏が初恋の経験で得たもの。

それは

"無闇に男性に関わってはいけない"

という結論だけだった。

だけど・・・本当はそれは建前で、こんな自分を包み込んでくれるただ一人の人を待っている自分がいるのは、誰にも秘密だ。
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