legal office(法律事務所)に恋の罠
「まあ、和奏がそういうなら大丈夫だろう。桜坂奏といえばやり手で有名だ。女性関係のゴシップもない。案外、和奏と気が合うかもな」

「興味ありませんね」

桜坂奏、確かに稀にみるイケメンだ。

女性に媚びるわけでもなく、かといって馬鹿にしている様子もない。

背筋が伸びていて、自信に満ち溢れて、いかにもホテルマンといった笑顔は素敵なのだろう。

だが、和奏は惑わされない。

「私のクライエントはあくまでも莉音さんです。それを誤解なきよう」

和奏は、パソコンに向かい、今日のケースレポートや関係書類をまとめ始めた。

庄太郎は、その様子を苦笑しながら眺めていた。

そして、桜坂奏がこの頑な和奏の心に入り込む存在になって欲しい、と期待しながらスタッフルームを後にした。

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