君の笑顔は、俺が絶対守るから。

そしてその足元では、癒しの天使、春陽くんが大きな目に涙をいっぱい溜めて私を見上げていた。


「梓おねえちゃん、行っちゃうの……?」

「春陽くん……。ありがとう。春陽くんと過ごせた1ヶ月、本当に楽しかった」

「僕だって……! やだよ~! 梓おねえちゃん行かないで!」


ずっとうちにいて!と泣く春陽くんを、力いっぱい抱きしめた。

この天使にどれだけ救われたかわからない。


私は春陽くんが、一ノ瀬兄弟が、一ノ瀬のおうちが、本当に大好きになっていた。


「こら、春陽。あんた来年中学生になるんだから、もうそんなわがまま言わないの」

「でもまだ小学生だもん! やなもんはやだ!」

「まったく……。梓ちゃん。私も梓ちゃんのいた1ヶ月、娘ができたみたいで楽しかったわ。恐い目に遭わせちゃったけど、嫌じゃなければ、いつでも遊びに来てね?」

「京子さん……。はい、ぜひ!」

「やだ~! 梓おねえちゃあん!」


私に抱き着く春陽くんを引きはがし、京子さんが深々とため息をつく。
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