幼なじみの甘い甘い焦らし方
瞳に涙の膜ができる。
泣いちゃダメだって必死に言い聞かせながら、その場を離れようとした時ーー...
ふと、頭上に影が落ちた。
「こんな所で何してんの」
そして、頭の上から声が聞こえる。
「....っ」
低くて落ち着いていて、暖かい。
私のよく知っている声。
もうずっと近くで聞くことのなかった声。
縮こまった体が小さく震える。
「は、るな..」
ばくばくと心臓を鳴らしながら顔をあげれば、私を見下ろす榛名と目が合った。
「っ!」
(ど、どうしようっ、見つかった...っ!)
いつから気づいてたの。
いつからここにいたの。
聞きたいことが声にならない。
ひとの話を盗み見してるところなんて、見られたくなかった。
ど、どうやって誤魔化せばいい?
なんて答えればいい?
「ぁっ...え、と」
何か言わなくちゃいけないのに、思っているように声が出ない。
パニック状態に陥った脳みそをフル回転させながら、私は勢いよく立ちあがった。
「ご、ごめん!は、榛名がいると思わなくて...っ。ただ、女の子の声が聞こえたから、その...えっと...だから、ただ私は、その....」
何言ってるんだろう、私。
気まずくて、怖くて、逃げ出したくて、上手く言葉が纏まらない。
そんな私を見て何を思ったのか、おもむろに榛名が一歩近づいてきた。
「....憂。」