月夜の砂漠に一つ星煌めく
「じゃあ、ネシャが意地悪したら、おにいは泣かなくて済むの?」

その質問に、俺は思いっきり笑ってしまった。

「何で?何で意地悪してないのに、おにいは笑うの?」

笑いを堪えてネシャートを見ると、ぷうっと顔を膨らませていた。

それを見て、また大笑いの俺に、今度はネシャートが怒ってしまった。

「もう!」

「悪かった!悪かった、ネシャ。」

お互いを顔を合わせて、一緒に笑い合った。


そのまま、ずっとネシャートと一緒に、遊べるものだと、俺は信じていた。

それが覆ったのは、俺が9歳の時だった。


女中の一人が、俺に衝撃の一言を告げた。

「ジャラール王子。これよりは、ネシャート王女とお遊びになる事は、叶いません。」

「えっ?」

口を開けて、言われた事を理解するのに、どれ程かかったか。

「本来であれば、ジャラール王子が7歳の時に、ネシャート王女とは、引き離されるしきたりでございました。」
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