月夜の砂漠に一つ星煌めく
「そうだ。ジャラール、昨日私に、躍り見せてって言ってたわよね。」

「う、うん。」

「特別に見せてあげる。」

そう言ってアリアは、俺から2メートルくらい離れると、両手を広げてポーズをとった。


「では恐れ入りながら、舞を披露して、ご覧に入れます。」

するとアリアは、歌いながら踊り始めた。

回る度に、金色の髪も踊って、しなやかに体は曲がり、艶かしく腰は揺れた。

長い手足は、綺麗に伸びて、どれもこれも、見る者を魅了した。

「有り難うございます。」

またポーズをとりながら、頭を下げるアリア。

俺は感動して、ずーっと拍手を繰り返した。


「どうだった?」

「感動したよ。ものすごく綺麗だった。」

「ふふふっ。」

嬉しそうに笑うアリアを見ると、これを大勢の人達も見るのだと、急に嫌になった。

「アリア。」

「なあに?」

「アリア。」

「だから、なあに?」

「俺だけのモノに、なってほしい。」
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