月夜の砂漠に一つ星煌めく
アリアは困ったように、下を向いた。

「アリア。」

俺が追いかけると、アリアは少し後ろへ下がった。

「あのさ……私、誰かのモノになるのは、まだ早いんだ。」

「どうして?」

「私が抜けると、舞踏団は困る。今は、抜けられないんだ。」

「そうか……」

人には、成さなければならない事がある。

アリアは、それが分かっている。

歳は少ししか変わらないのに、アリアの方が、俺よりも大人だ。


「分かった。その代わり……」

俺はアリアを、強く抱き締めた。

「明日も会いたい。」

「ジャラール……」

「明日だけじゃない。明後日も、明々後日も、その次の日も、そのまた次の日も……」

そう言って、アリアを優しく見つめた。

「嬉しい、ジャラール……」

どちらからともなく、顔を近づけて、俺とアリアは、初めてのキスを交わした。


それから毎日、アリアと星の間で、会い続けた。

「好きだよ、アリア。」

「私もよ、ジャラール。」

唇が腫れる程、囁き合った。
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