月夜の砂漠に一つ星煌めく
楽しかった思い出だけが、次から次へと思い出され、俺は一人で、悲しく微笑んでた。

あの時間はもう二度と、戻っては来ないんだ。


その時だった。

入り口の影に、人の気配を感じた。

誰だ?

侵入者か?

俺は、近くにある刀を持つと、足音を消し入り口に、近づいた。

ちらちらと、中を見ている。

忍び込む好機を、狙っているのか。

俺は、刀に手をかけた。


「動くな。」

あれだけソワソワしていた体が、ピクリとも動かなくなる。

スーっと刀を抜き、入り口の外を覗いた。

「おにい。」

「ネシャート……」

なぜこんな場所へ?

半信半疑になりながら、抜いた刀を収めた。

「さあ、こちらへ。」

ネシャートの腕を引き、部屋の中へ引き寄せた。

「どうした?あんなコソコソしていなくても、堂々と入ってくればいいだろう。」

するとネシャートは、悲しそうに俯いた。
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