月夜の砂漠に一つ星煌めく
しばらくして、俺の前に一人の侍従が、召し出された。

「ハーキムと申します。」

俺よりも2つ年上の、ハーキムと名乗る者は、まだ俺と一緒に子供の癖に、どこか大人びていた。

「ジャラールである。以後、宜しく頼む。」

「はっ!」

一切、俺を見ないハーキムの、初対面の印象は、“得体の知れぬ者”だった。


「では、ジャラール王子。これよりは、数名の女中を残し、後はハーキム率いる侍従達が、お仕え致します。」

今まで俺の側にいてくれた女中が、頭を下げた。

「そなたは?」

「残念ながら、公務に戻らせて頂きます。」

者心付いた時から一緒だった、小太りの女中との別れの時が来た。

「今まで、世話になった。」

「勿体ないお言葉でございます。」

「また会おう。その時まで、元気で。」

「ジャラール王子も。」


ずっと側に仕えていてくれた割には、あっさりとした別れだった。
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