月夜の砂漠に一つ星煌めく
その一方で、新しく側に仕えてくれたハーキムは、まるで兄のようだった。

「ジャラール様。これより、森の中に一泊致しましょう。」

王子と言わないだけでも、珍しいのに。

森の中へ?一泊?

あんな危険な場所。

俺は遠慮する。

「私はせぬ。一泊したかったら、ハーキム一人で、行くがよい。」

「はい。では、ごめん。」

ハーキムは、私を肩に担ぎ、外にいる駱駝の上へ、乗せた。

「ハーキム!何だ、これは!」

「将来、王家を支える為の、特訓でございます。」

「はあ?」

ハーキムは自分の駱駝と、俺の駱駝を繋ぐと、森の中へと走り始めた。

「ハーキム!止まってくれ!落ちる!」

「しっかり掴まっていて下さい!ジャラール様!」

俺の言う事など、何一つ聞かず、ハーキムは森の間を、どんどん、どんどん走って行く。


「どこまで行くんだ!」

「もう少しです!」

そう言ったハーキムは、ある場所に着くと、駱駝を止めた。
< 16 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop