月夜の砂漠に一つ星煌めく
「野犬……野良犬って事か?」

「野良犬は野良犬でも、狂暴な生き物ですよ。人間だって、食い殺します。」

その時、今度は梟ではなく、狼に似た遠吠えを聞いた。

「ここは、狼もいるのか?ハーキム。」

「狼は、もっと山の中です。あれが野犬です。」

「えっ!あんな狼みたいな鳴き声が?」

「そうです。」

途端に俺は、両足を組んで、ハーキムに気づかれないように、ブルブル震えていた。

俺はハーキムを、ちらっと見た。

ハーキムは俺よりも少し年上なだけで、お互いまだ子供だ。

野犬に襲われたら、太刀打ちできるんだろうか。


「そろそろ、お休みになりますか?」

「えっ!!」

寝たら、益々野犬に襲われるじゃないか!

「ご心配なく。私は起きていますので、どうぞ横になってください。」

そう言ってハーキムは、薪を一本、火の中に放り投げた。

「じゃあ、遠慮なく。」

俺は持ってきた荷物を、頭の下に入れた。
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