月夜の砂漠に一つ星煌めく
その時、クスッと言う笑い声が、聞こえた。

えっ?ハーキムが笑った?


「まずは、一等星からになるでしょう。」

どうやら、聞き違いだったらしい。

「一等星は遠征の際、何も見えなくなる夜の、目印になりますから。」

「ふーん。」

「ふーんとは、人事のように。この国の、唯一の王子であるあなた様が、そんな事でどうするのですか。」


この国、唯一の……ね……

俺はすかさず、顔を手で仰ぎながら、ハーキムに背中を向けた。

「王子とは、遠征に行かなければ、ならぬのか。」

「積極的に、戦いに行く必要は、ございません。ただ……」

「ただ?」

「他国に攻め入られた時には、この国を守る為、戦わなければならぬ事も、あるでしょう。場合によっては、遠征になる事も……」

パチッパチッと、木が燃える音がする。

「私が……軍を率いるのか。」

「やがては、そうなります。」

「できるか?私に。」
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