月夜の砂漠に一つ星煌めく
「できる、できないではありません。やって頂くしか、ないのです。」

急に肩が、重く感じた。


この時の俺は、10歳。

戦いの“た”の字も知らぬ、子供だった。


「ジャラール様、ご安心下さい。」

「ん?」

「あなた様が戦いに出られる時は、このハーキムが、お側におります。あなたのお命は、必ず守りきって見せます。」

こんな事を言われたら、ほとんどの人は、“頼り甲斐のあるいい侍従だ”なんて、言うのかもしれないが。

もう一度言うように、この時のハーキムは、12歳。

そんな事言われたって、信じられる訳がない。

だから早々に、話を変えた。


「一等星を覚えるのは、大変か?」

「そんなに多くはないので、あなた様なら、覚えきれるでしょう。」

「何に役立つのだ。」

「場所、方向。そして、希望。」

「は?」

一番そんな事を、言いそうにないのに。


「暗闇の中では、誰もが迷い、生気を失います。そんな時の拠り所になるのです。」
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