月夜の砂漠に一つ星煌めく
すると林の奥から、動物の唸り声が、聞こえてきた。

「静かに。」

寝ていたはずのハーキムが、目を瞑りながら、剣に手を掛けていた。

「野犬です。火が消える事を、待っていたのでしょう。」

俺は、ゾッとした。

「ハーキム、すまん。私が……」

「謝っている場合ではありません。ジャラール様、剣をお持ち下さい。」

「あ、ああ!」

俺は急いで、荷物の側に置いてある、剣に手を伸ばした。

その時黒い塊が、私の前を横切る。

「うわっ!」

「ジャラール様!」

気がついたら、剣は遠くに飛ばされ、俺の目の前には、目が金色に光る大きな野犬が、唸りをあげていた。

「あ、……」

「ジャラール様、早くこちらに!」

後ろから、ハーキムの声がする。

怖くなって、振り向きながら走ると、野犬が俺の足の服に、噛みついてきた。

「離せ!離せぇ!」

足で野犬を蹴ろうにも、服に歯が食い込んでいるのだから、無理に決まっていた。
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