月夜の砂漠に一つ星煌めく
さて、俺には2歳年下の妹がいた。

名前はネシャートと、名付けられた。

生まれたその日に、女中と一緒に、母の元を訪ねた。


日の光を浴びて、小さな女の子は、父と母の腕の中に、大切そうに抱えられていた。

「ああ、ジャラール。」

父は、俺を手招きしてくれた。

俺は初めて見る赤ん坊に、跳び跳ねる程、興奮していた。

「ジャラール王子。あなたの妹のネシャートよ。」


“喜び”と言う意味を持つネシャートは、そのまま国中の喜びとなった。

国中の者が歓喜にわき、たくさんのお祝いの品が、宮殿に届いた。


「僕の時も、こんなに届いたの?」

「え、ええ……そうでしたわよね。」

女中が、他の女中に聞く。

「は、はい……」

今思えば、何か隠しているように見えるのだが、この時はまだ何も分からない子供だったから、俺はただ自分の時もそうだったのだと、嬉しかったのだった。
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