月夜の砂漠に一つ星煌めく
俺は先生を、ヒヤヒヤさせるだけだった。


「あー!本当に、悩ましい。」

特に剣術なんか、ハーキムに容赦なく、叩かれていたから、生傷が絶えなかった。

そんな時は決まって、庭の花畑で、休憩をしていた。

すると決まって、俺の元に現れる者がいた。

「ふふふ。またハーキムに、しごかれたのですね。」

「ネシャート……」

薬箱を持って来てくれて、いつも俺の傷を、治してくれていた。


俺はその時、13歳。

ネシャートは11歳だったけれど、彼女の美しさは、宮殿中で、噂になっていた。

普通の兄妹であれば、自分の妹が絶世の美少女であっても、それこそ何とも思わないのだろうが。

俺達は引き離されてから、日常的に会う事はできず、それが反って、お互いの心を惹かれさせてしまったんだ。


「いつも、すまない。ネシャート。」

「あら。今日はやけに、素直でいらっしゃる事。」

ネシャートからは、花の匂いがして、その香りは俺の心を、いつもドキドキさせていた。
< 33 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop