月夜の砂漠に一つ星煌めく
「ではなぜ!第1王子であるこの俺が!国王になれぬのだ!!」

いつの間にか地面は、俺の涙で濡れていた。

「教えてくれ……ハーキム……」

「ジャラール様……」


その時だった。

俺の前に、一人の影が見えた。

「ジャラール王子。」

それは、俺を幼い時から育ててくれた、あの女中だった。

「王子に……本当の事をお教えしなかったのは、私の罪でございます。」

「えっ……」

その女中は俺の隣に、同じように膝をついた。

「ジャラール王子。気を確かに、私の話をお聞き下さい。」

「ああ……」

「ジャラール王子。あなた様は、現国王の本当のお子ではありません。」

「えっ!?」

時が、止まった気がした。

「今のお妃様も、あなた様のお母上では、ございません。」

もう言葉も無くて、俺はその女中の前に、倒れそうになってしまった。


「あなた様の本当のお母上は、現国王の前のお妃様、マリエフ様でいらっしゃいます。」
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