月夜の砂漠に一つ星煌めく
「うるさい!邪魔をするな!」

ハーキムに叫んで、また花を切り始めた。

「お止め下さい!そのお花は、ネシャート王女が大事にお育てになった物では、ありませんか!」

「だから、切っているのだ!」

「ジャラール様?」

目の前の花を、ある程度切り終わると、今度は呼吸が苦しくなって、持っている剣を、地面に突き刺した。


「ハーキム。父上の跡継ぎは……次期国王は、ネシャートだと、知っていたか?」

ハーキムは、口を接ぐんで、答えようとしなかった。

「ハーキム!答えろ!!」

「……はい。知っておりました。宮殿に召し出される際、ジャラール様は王子なれど、次期国王となるネシャート王女の第1側近になられる方だと。」

ハーキムの言葉に、俺の全身の力は抜け、その場に膝を着いた。


「俺だけが、知らなかったのか……」

「ジャラール様……」

「俺は、父上に嫌われているのか?」

「違います!」
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