月夜の砂漠に一つ星煌めく
「なあ、ハーキム。」

「はい。」

「その美姫達は、ネシャートよりも、美しいか?」

「えっ……」

言葉に詰まるハーキムを見ると、どちらの答えが返ってくるのか。

「そうですね。これはあくまで、商人達に聞いた話なのですが……」

「うん。」

「ネシャート様のお美しさは、アラブの姫君達の中でも、1・2を争う程だそうですよ。」

俺は考えた。

「では、他の国の姫達が来ても、ネシャートの前では、立場がないではないか。」

「あ、いや……そう……なりますかね。」

焦っているハーキム。

それはそうだ。

一国の王子が、女に興味がないなんて。

後々、自分のせいに、されかねない。

「ああ!そう言えば!」

「なんだ。」

「北の国のマジド王の姫、マリカ王女は、ネシャート様と1番を争う美姫だそうですよ!」

「では、その姫だけ連れて来ればいいだろう。」

ハーキムは、大きなため息をついた。

「ジャラール様。」
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