月夜の砂漠に一つ星煌めく
ネシャートが手を引き、部屋の中に入れてくれた。

「うわぁ……」

それを見た俺は、思わず童心に返ってしまう程、驚いた。


家具は高級な木で作られ、装飾品は鮮やかな金銀、布もシルクが使われていた。

これが次期、王位を継ぐ者の部屋か……

それを思うと、自分の部屋が急に、みすぼらしく感じてきた。

「どうなさいました?」

「……いや。」

だがそれは、ネシャートのせいではない。

俺は気を取り直して、ネシャートと一緒に、椅子に座った。


「本当は、ラナーに何か飲み物でも、持ってこさせるのですが、あの子もあの子で、忙しいのです。」

「忙しい?」

「ええ。この前、ハーキムに髪飾りを持って行くようにと、ジャラール王子が、申しましたでしょ。」

「ああ……」

「それから、二人は時々、偶然を装って会っているのですよ。」

「そうだったのか……」

あの二人が……

それを聞くと、なんとなく安心した。
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