月夜の砂漠に一つ星煌めく
ある日の夜。

その時もラナーの協力で、ネシャートと会う事ができた。

だがこの日は、少し様子が変だった。


「ラナーが、疑われているのです。」

ネシャートが、重い口調で話し始めた。

「ジャラール王子が部屋に入ると、ラナーは部屋を出ると。誰か別の者を、王子に会わせているのではないかと。」

「よくそこまで、調べる者がいるものだ。」

俺は、半分呆れた。

「ラナーには、以前にも迷惑をかけています。もう、あの者に、疑いはかけられて欲しくありません。」

ネシャートの、ラナーを思う気持ちが、俺を少し前に、歩かせてくれた。


「では……ネシャートの部屋に、行ってもいいかな。」

「私の?……」

はにかみながら、小さく頷いたネシャートと二人で、ラナーの部屋を出た。

誰もいない事を、少しずつ見張りながら、やっとの思いで、ネシャートの部屋に辿り着いた。

「どうぞ、ジャラール王子。」
< 67 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop