月夜の砂漠に一つ星煌めく
「俺の人生が、こんなにも苦しくなると、分かっていたとしてもか?」

ハーキムは、俺をじっと見つめて、何を思ったのか、俺を自分の胸に抱き寄せた。

「えっ!?ハーキム!?」

突然の事に、どうすればよいか、戸惑った。

よりによって、男に抱き締められるなんて!


「このまま、聞いて下さい。ジャラール様。」

「わ、分かった。」

言う事を聞かないと、何をされるか分からないと思った俺は、とりあえずハーキムの言葉に、従って大人しく話を聞く事にした。

「私があなた様に、お仕えすると決まった時。『この方は、次期国王の側近になられる方。』と、教えられと言うのは、お話致しましたね。」

「ああ……」

「私も、なぜ第1王子が側近になり、王女が国王になるのか。尋ねてみたのです。」

「えっ?ハーキムが?」

あんなに周りの言う事に、“はい”か“いいえ”しか、言わないと思っていたハーキムが。
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