好都合な仮死
それからビニールに入ったルーズリーフとペンを手にする。
「あんたみたいな陽気な店員でよかった」
「……接客だるいんでもう夜には来ないでくださいね」
客がふわりと笑った。あーあ、今日もはずれ。
「お望み通りもう来ない。あったかい布団で寝るから」
「そりゃありがたい」
客の後ろ姿を眺めながら、俺は小さくため息を吐き出した。
夜がもうすぐ終わる。朝がはじまる。1日がはじまる。
深夜のコンビニにくるやつは、たいていどこかしらに闇をひっ捕まえてくる。
それから、深夜のコンビニで働く俺にも、闇がひっついている。
「……今日も死に損なった」
