オレ様御曹司 と 極上KISS
「なんだね。君は?
翔がきたのかと思ったが・・・ちがったのかね。」

会長は入社当時から数回、お見かけしたことはあったが、遠い場所から拝見していただけのわたしにはほとんど記憶になかった。

こんなに近くでお会いしたのは初めてだ。
昔の人にしては背の高いそしてダンディなおじい様だった。

顔立ちが翔とよく似ている。
翔はおじいちゃん似だったのね・・・。

「失礼するよ。立っているのがつらいものでね。」

そういうとソファに腰掛けようとするので、わたしは手を貸して会長を支えた。

会長はわたしのヘルプは断らず、支えに少し寄りかかりながら座ると切り出した。

「君は誰だね?
わたしの息子がよこした者なのかね?」

この人には嘘は通用しない。
直感がそう告げていた。

「いいえ。それは会長にお会いするためのウソです。
今日はどうしてもお会いせねばならなくてこちらに参りました。」

わたしはたたずまいを正した。

「ほぅ。何かね。」

会長は興味をもったらしく、射抜くような目付きでわたしを見据えた。

こんなに緊張したことはない。

会長の目は何事をも見逃すまいとわたしの一挙一動をすべて睨みつけていたのだから・・・。

これぞヘビに睨まれたカエルだ。


もうここまできたら引き返せない。

わたしは意を決して、話し始めた。
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