オレ様御曹司 と 極上KISS
~久遠翔side~

「翔《はると》?どうしたの?」

ここはアメリカのロサンゼルス支社。

俺の秘書をしていたナンシーはデスクにコーヒーを出すなり俺の表情がいつもと変わったことに気づいた。

「いや、なんでもない。」

「そう?ならいいけど。」

俺はワガママだ。

だから今までも秘書が何人やめたかわからない。

けれどナンシーだけは俺の上手をいくかなりできた女で、俺を怒らせることはなかった。

まぁ45歳の3人の子どもを育てる母親だからかもしれないが・・・。

俺も子どものひとりみたいなもんなんだろ。たぶん。

「翔が日本に戻ったらさみしくなるわね。」

「戻ってもまた来るさ。
2、3ヶ月は日本ベッタリになるかもしれないけどな。
またそのうち顔出すよ。ナンシー。」

俺は受話器をとって東京のKN商事本社の秘書課の室長をしている里田に電話をかけた。

『はい。お久しぶりです。支社長。どうされましたか?』

相変わらず几帳面な声が聞こえてくる。

『日本に戻ってからの俺の秘書だけどな。
今管理部経理課にいる一条なおにしてくれ。
他の者は受け付けない。
他言無用だ。
本人には俺に会うまで俺の名は伏せておけ。
彼女は英語が堪能だから大丈夫だ。』

『一条なお・・・ですか?わかりました。』

余計なことは詮索しないこれぞ秘書の鏡のような女だった。
もう、40は超えているだろう。
見た目はもっと若く見えるけれど・・・。

俺は今見ていた次の俺の赴任先のKN商事本社社員の履歴書ファイルをデスクの引き出しにしまい、鍵をかけた。

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