【完】さつきあめ〜2nd〜

「やめろ、美月。体に障る」

そう、そんな一言にさえショックを受けてしまう小さな自分。
誰の子供であろうと、それが誰であろうと、朝日はきっと妊娠している女の人を庇うと思う。
けれどそれをこんなに許せない自分がいる。そしてそんな醜い感情が自分の中にある事にうんざりする。

「何?一体どういう関係?つーか彼女いるのに家に連れ込むかよ。
俺てっきり夕陽の事大切にしてるって思ってたから」

「光マジで止めろって。
こいつ妊娠してんだ」

「妊娠?」

光の顔が歪む。
わたしの顔を覗きこむようにして、心配しているのが分かる。
けれど、顔があげられない。

「妊娠って…誰の子?」

「うるせぇなぁ。俺の子だよ」

「は?」

「止めて宮沢さん!宮沢さんの子じゃないよ!!」

「お前もうるせぇな!!
もう俺の子供つったら俺の子供なんだからお前は黙ってろよ!」

朝日の言葉ひとつひとつが胸に響いていく。
こんな状況でも、美月の体の心配を1番にしてあげられない自分に嫌気がさす。

「は?あんた夕陽と付き合ってんだろ?
それなのに違う女妊娠させるとか何やってんの?
今まではそこまでだとは思ってなかったけど、心底うんざりしたわ」

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