【完】さつきあめ〜2nd〜
朝日を守るように光の前に立ちはだかった美月の瞳は、今までに見た事のないくらい強かった。
そこに美月の朝日へ対する強い思いが見え隠れする。
「宮沢さんに乱暴な事をするのは止めて!
悪いのは全部あたしなんだから!」
「は?誰かは知らねぇけどあんたに話はねぇから。
どうせこの人の金とか地位にすがりつきたい下らねぇ女だって分かってるから。
関係ない奴が口出しするなよ!
あんたみたいな最低な男がいるから、こんな女がいなくならねぇんだろ!」
光がここまで人に怒ったところは初めて見た。
光はわたしの中でこんな風に感情をあらわにする人ではなかったし、ましてや女の子に対してこんなきつい言葉を言う人ではなかったから。
けれど、そんな光に対しても美月は怯むことなく睨みつけた。
「あたしは確かにあなたの言う通り下らない女だよ!
けど宮沢さんの事を悪く言うのは許さない!
それにあなたやさくらさんが思ってるような事を宮沢さんはしてないよ!
宮沢さんの事ちゃんと分かってないのはあなたたちの方じゃない!!」
美月は光を通して、わたしを見ていたような気がする。
わたしなんかよりずっと真っ直ぐで一途な想い。どうしてここで傍観者のように何も言えずに泣いているのだろう。
わたしの方こそ、本当はずるい人間だったのではないのだろうか。