【完】さつきあめ〜2nd〜
「ゆりさんと勝負ですって?身の程知らずって言葉知らないんじゃない?
大体あたしたちだって12月はEDENで働く予定だってのに、余計な事してくれるわ」
「ほんとよね~…。ゆりさんと勝負なんて頭おかしいんじゃないの?」
「あなたなんてONEに来ちゃーゆりさんどころかミエにもかなわないんじゃないの?」
本当にこんなドラマみたいないじめがあるのか。
そんな安い挑発に乗ってる時間なんてないのに、踏みつけられたワンピースを乱暴に奪って、ミエたちを睨みつけた。
「何よっ!」
「何よ!じゃないわよ!あなたたちでしょ?!あたしのロッカーにあったワンピースどっかにやったの!!」
「はぁ?!証拠もないくせに人を犯人扱いするわけ?!
こういう女と一緒に働くとか無理なんですけど~?!!
ねぇ~!みんなぁ?!」
「店長に言いつけちゃおっか~?!」
「きゃはは止めなよー!!新しくONEになった店長この子と仲いいんでしょ~?
すぐ男なら手なづけちゃうんだから、怖いね~!!」
ユウとミエはもちろん。
更衣室にいた女の子たちは何人かこちらを見てクスクス笑っていて
数人は見て見ぬ振りをしていた。ゆり派閥じゃなくたって…わたしの味方であるわけがない。
悔しさと、惨めさで、涙が出そうになった。…こんな風に意味もなくいじめられた事はなかった。どれだけいままで自分が立ってきた場所で守られていたのかを知る。
こんなところで立ち止まってる場合じゃないのに…。そう思った時だった。