【完】さつきあめ〜2nd〜

㉓

次の日。
わたしはお客さんと同伴。
そして、雪菜のお客さんとも店前同伴。
同伴ポイントも、指名ポイントも全部わたしについていた。
けれど今日出勤前に昨日の売り上げ表を確認して、唖然としてしまった。

もちろんゆりが１日でもナンバー１。そして雪菜や愛たちのフォローのお陰もあってか、わたしがナンバー２に着ける事が出来た。
…着ける事は出来たの、だが…。
そのたった１日の売り上げでもゆりとわたしでは大差が開いていた。
何卓かでシャンパンが１本空いたところで、ゆりはたった１卓で何本もシャンパンやワインを空けるのはざらな話で、しかも１本単位何十万もするシャンパンを普通に空けてしまう。
少数の指名で大きな売り上げをあげる。それがゆりのやり方で、実に効率の良いやり方でもあった。

たとえお客さんがオープンラストまでいたとしても、その売り上げは高級なシャンパン１本にはかなわない。
くわえて、今日出勤してきた時店内は異様なざわめきを見せていた。

「高橋くん……あそこもゆりさんの指名なの…？」

「あぁ、ゆり指名だな。
まぁ雪菜のやった事を真似ただけだろうな…。」

昨日雪菜がした事と同様、ミエたち何人かのゆり派閥の女の子の本指名が、ゆりになっていた。

「どうせＯＮＥは１２月いっぱいだから、来期の時給なんてどうでもいいって言ってたよ」

「それじゃあ…あたしとゆりさんの差、ますます開いちゃうね…」