【完】さつきあめ〜2nd〜
さっき、蓮が言った通り、ドンペリなんてひとつも美味しく感じた事はない。
それより高級なシャンパンだって、美味しいと感じた事はない。
この飲み物に、価値なんて何もない。わたしたちが生きていく世界の道具のひとつでしかない。
でもそのボトル1本おろすのに、誰だってプライドを賭けて仕事をしていた。

喉が熱を持ったようにぴりぴりと痛む。

蓮は余裕の表情で自分とわたしのグラスへシャンパンを注ぐ。まるでゲームでも楽しむかのように。
無言のまま、お互いにそれを飲み干していく。
お酒は強い方。けれど、わたしたち以上にお酒を飲んでいるホストに敵う訳もなく…それでも目の前の蓮が許せなかった。

グラスのシャンパンを飲み干すたびに、ボトルは空いていく。
もう何杯飲んだだろう。蓮は全然余裕そうに笑っていた。
空いていくボトルの本数なんて、どうでもいい。いくらお金がかかろうと構わない。
けれど、美月を否定したこの男だけは許せない。

3本ボトルが空いたところで、蓮は手を止めた。

「なんなんだよ…あんた…」

目の前のシャンパンを飲み干して、グラスを乱暴に置く。

「飲みなさいよ!」

「何で美月の為にそこまですんだよ……」

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