【完】さつきあめ〜2nd〜
光SIDE③

光SIDE

俺の父親は美容関係のお店を多く出すチェーン店のオーナーだ。
けれど父親が生まれ育ったのは関西の田舎で、父親の両親は細々と農家をやっている。
元々この会社は母親の父親が経営していたもので、高校を卒業した父親が上京してきて、母親と結婚して会社を継いだわけだ。

母親は生粋のお嬢様。
働いた経験もなく、大学を卒業して家事手伝いとして実家に住みながら遊び回る生活をしていた。
そういう母親の生活は俺が物心ついた時から変わらなくて
お姫様みたいに着飾った母親は子供を産んだようには思えなくて、周りは綺麗な人だと言っていた。
そして俺はそんな母親によく似ていると言われていて、母親は特に俺を可愛がってくれていたような気がする。
まぁ彼女にとって俺は自我を守るための道具に過ぎなかったのかもしれないけど。

父親は遠い昔に母親ではない女性と恋に落ちた。


ゆりがダイヤモンドグループに来るということ。
父親がダイヤモンドグループに出資してくれたこと。
だから実質自分の力でお店を経営してるわけじゃない。
それでもゆりがダイヤモンドグループに来てくれると決まって、三浦というメディア関係の社長が動いてくれて
俺はいつしかあの人を自分の力で超えて行くと決めた。
けれどまさかその障害が夕陽になるなんて夢にも思っちゃいなかったけど。

俺が兄貴を超えたかったように
夕陽もゆりを超えたかったって知っていたのに。
いま、俺は後悔をしている。そして、いつかこんな風に後悔をする日が来るのを知っていた。
あの日中途半端に、彼女を利用出来なかった事を。彼女の存在が、さくらをチラつかせて俺を離さなかった事を
後悔していた。
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