【完】さつきあめ〜2nd〜
3月の夜はまだ少し冷え込んでいた。
焼肉屋さんへ向かう道中わたしはレイに話を掛けた。
「ねぇレイさん沢村さんって素敵な人だねー!」
「だよねー!さくらちゃんも沢村さんの担当なんだってね!レイもなんだぁ~!
めっちゃ爽やかイケメンだよね~?さくらちゃんタイプでしょ?!」
レイの言葉にどきりとした。
光と朝日とあんな事があったばかりで誰かを好きになるなんて余裕は微塵もなかった。
けれどレイの言葉に少し動揺してしまったのは、わたしのタイプが一貫しているという事だ。
光や桜井にしたって、わたしがいいなと思う人は容姿は違えど一貫していたからだ。
爽やかで優しくて、王子様みたいな人。それを思えば、朝日はわたしのタイプには何ひとつ当てはまらなかったし、どちらかと言えば正反対の部類だった。それでも好きになるのだというのだから、恋をするという気持ちは頭で思って出来る物ではないのだと最近になって知った。
「た、タイプなんて…」
「えーレイわかるもんー。レイとさくらちゃんって好きになるタイプが似てるんだと思うー。だから沢村さんは絶対さくらちゃんのタイプだと思ったー」
「レイさんは沢村さんの事好きなの?」
そう尋ねると、レイは大笑いをして違う違うと両手を振った。