【完】さつきあめ〜2nd〜

「あの人酔ったらうるさいのなぁ~…
酔うとさくらの話ばっかになる!」

「光と朝日って飲みに行ったりするの?!」

「最近は多いよ。
俺も兄貴も歳を取ったって事だろうね。
最初は仕事の話とかしてるんだけど、段々酒が入ってくるとさくらーさくらーって。
そのうち忘れるんだって!この何年聞いてきた事か…。
あいつ以上の女はこの世界にいないって
情けないわぁー」

「そんなの……酔っ払いの戯言だよ…
あの人あたしとご飯行ったってそんな事口が裂けても言わないし」

「酔った時にしか出ない言葉は限りなく本音だろ…」

「だってあの人会うたびに彼女は変わってるし
あたしに写真とかも見せてくるんだよ!
付き合う人皆ゆりさん系だから、ああ朝日の好みって一貫してるなぁってつくづく思うよ」

「気の強い美人」

「そう!」

そう言って、光とお互いに指を刺す。
思わず笑ってしまう。


「でもあの人って性格は犬みたいに忠実な女が好きなんだよなぁー…」

「分かる!朝日は結局我儘だからお願いを全部聞いてくれる女の子が好きだし
自分の中のテリトリーにいて欲しいんだよ。
そう考えれば、あたしと朝日と水と油みたいで考え方がぜっんぜん違うから
あたしは結局朝日の言う事を聞いてなんかいられないし、絶対反抗しちゃうから
かみ合わなくなってしまう事ばっかりなんだよ……」


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