壊れそうなほど。
「そもそもアイツ、なんで浮気なんかしてんだよ。バカなの?」
佑介は愚痴りながら、何本目かわからない日本酒をおちょこに注いだ。
……正直、佑介がいちばんバカなんじゃないかと思う。沙奈のことそんなに好きなくせに傍観して俺応援とか、意味わかんない。
逆に沙奈を取り合う方が、困るけどわかりやすくていい。
「ユッキー、早く奪い取れよー」
いや、だからそれさあ、どんなメンタルで言ってるの? 正気?
そんな佑介は「あ!」と突然声を上げて、ケツからスマホを取り出した。画面に指を滑らせてから耳に当てる。電話?
「あ、沙奈~。なにしてんの?」
「はあっ!?」
俺が隣にいるこの状況で、啓吾といるであろう沙奈に電話!?
……正気の沙汰じゃない。