私たちの六年目
入院と聞いて、秀哉さんがこれでもかと目を見開いている。


「入院って、どういうこと?

ケガでもした? それとも病気?」


明らかに動揺している秀哉さん。


まさか菜穂さんが入院しているだなんて、そんなこと思いもしていなかったんだろう。


「……心配ですか?」


「そんなの当たり前だろう?」


秀哉さんは、怒ったように声を荒げた。


この人は、誰に対してもこんなに思い入れがあるのだろうか。


それとも、ただの八方美人?


「菜穂さん……、無理のし過ぎで身体が悲鳴を上げたんです。

食事も、全然とっていなかったみたいで……」


「全然って……。なんで菜穂は、そんな無茶を……」


秀哉さんの言葉に、頬の筋肉がピクッと上がった。


「なんでって……。

その理由が、本当にわからないのか?」


「え……?」


菜穂さんがこんな状況に追い込まれた原因が、わからないなんて。


コイツ、本気で言ってる?


「全部、あんたのせいじゃないか!」


思わず、大きな声が出た。


僕はもう、自分を止められそうになかった。
< 110 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop