私たちの六年目
「婚約はしているかもしれないけど。

でも梨華は、秀哉のことを特別好きってわけじゃないんだよね?

秀哉も、梨華のことをもう愛してないんだよ。

そんな二人の結婚生活が続くって本当に思ってるの?

破綻することが目に見えているのに、それでも結婚を押し通す理由は何?」


私は秀哉からその答えを聞いて知っている。


でも、あえて知らないフリをした。


「いいわよ、別に。

秀哉に愛されてなくても、なんとも思わない。

菜穂のことが好きなら、不倫でもなんでもすればいいわ」


「は……? 何それ?」


なんで私が、秀哉と不倫なんか……。


「私は結婚して、赤ちゃんが無事に産めたらそれでいい……」


なんだか呆れて、しばらく言葉が出て来なかった。


「すごいね、梨華。

結局梨華は、秀哉を金ずるとしか思っていないんだね……」


結婚資金も出産資金も、育児にかかるお金や生活費も。


全て秀哉に払わせて、挙げ句の果てには慰謝料までもらおうっていう筋書きなんだよね?


どこまで搾取すれば気が済むんだろう。


どうして秀哉に、そんなひどい仕打ちが出来るんだろう。


秀哉が5年間も片想いをしていた女性は、こんなにひどい人だったの?


私の親友は、こんな子だったの?


そんなこと信じられない……。


信じたくもないよ……!
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