私たちの六年目
「参ったな……。

そこまで長いと、正直ショックです。

だけど、菜穂さんが秀哉さんを想っていることを、あれだけ必死に隠すってことは。

秀哉さんは、菜穂さんの気持ちを知らないってことですよね?」


「……うん」


「五年もあれば、告白するチャンスはあったでしょう?

しかも、親しい間柄なのに。

なんでしなかったんですか?

僕なら我慢出来ませんよ。

現に知り合って一ヶ月ちょっとで、菜穂さんに告白したわけだし」


思わず、クスッと笑ってしまった。


確かに一ヶ月と五年って、随分違うよね。


「もちろん好きって言いたかったよ。

それはもう、何度もね……。

でも、彼には好きな人がいるのに。

さらには、その恋の相談もされるのに。

そんなことが言える?」


言えるわけない。


絶対に振られるとわかっていて……。


「秀哉さんには、好きな人がいるんですね。

彼女はいないとおっしゃってましたけど」


「うん……。秀哉も片想いなのよ」


「片想い……ですか。

秀哉さんほどかっこ良ければ、振り向かせられそうな気がしますけどね」


「私もそう思ってたんだけど、秀哉の好きな子には他に好きな人がいてね。

その人のことしか見えてないのよ。

それでも秀哉は、大学を卒業する前にちゃんと告白したのよ。

でも、結果はダメだった……」
< 28 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop