私たちの六年目
「菜穂さん、もうそろそろ秀哉さんに自分の想いを告げませんか?

その上で、秀哉さんとのこれからの関係をどうするか考えていくべきです。

菜穂さんに告白されたら、おそらく秀哉さんはビックリするだろうけど。

そんなことで、二人の友情は変わらないと思いますよ」


それは、確かにそうかもしれない。


私が秀哉に告白したからといって、友情は壊れないと思う。


梨華と秀哉がそうだったように。


だけど……。


今までさんざん梨華の事で相談に乗ってきた私が、まさか秀哉の事をずっと好きだったなんて。


片想いのつらさを誰よりも知っている秀哉だからこそ、秀哉は私に対してひどく申し訳なく思うはず。


そうなれば、もう二度と私に梨華のことを相談したり、私の部屋に来たりはしないだろう。


それは、今までの関係とは大きく変わることだ。


梨華に対してつらい思いを抱えている秀哉を、誰よりも近くで見てきたのに。


もう二度と、その位置には戻れなくなる……!
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