私たちの六年目
「そんなの気にしなくていいよ。

崎田君は、人から話を聞き出すのが上手いし。

菜穂もうまく誘導されたんだろう?」


「あー……」


誘導って言うか。


秀哉を好きなことがバレたから、流れで仕方なく話したんだけどね。


「崎田君って、ちょっと強引なところがあるけど。

でも鋭いって言うか、結構核心をついてくるよな」


「うん、まぁ……。頭の良い人だとは思う」


可愛い顔して、あの頭のキレだもんね。


爽やかで優しそうなあの見た目は、どう見ても草食系に見えるのに、意外に肉食系だし。


ある意味ギャップがすごい人だよね。


「一瞬ドキッとしたよ。

守や郁未とは会っていないのに、なんで菜穂とは二人きりで会うのかって聞かれて。

俺……、そのことについて深く考えた事がなかったから……」


まぁ普通は考えないよね。


ただ友達に会っているだけなんだから。


「崎田君にそう言われて。

タクシーに乗ってる間、俺なりに菜穂に会う理由を考えてみたんだ」


「ちょっ、そんなの別に考えなくていいって」


崎田君のバカ。


真面目な秀哉を悩ませるんじゃないよ!
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