私たちの六年目
「俺、菜穂といるとホッとする。

すごく楽しいし、何時間でも話していられる」


「うん……」


そう言ってもらえると、本当に嬉しいよ……。


「でも、そういうのが崎田君にしたら、菜穂を利用しているように見えるんだろうな」


「うーん。

崎田君から見たら、そうなんだろうけど。

会ってお酒を飲んで話すだけだよ?

しかも、ワリカンだし。

利用だなんて、ありえないよ」


私が秀哉に貢いでいたり、カラダの関係でもあればそうかもしれないけど。


そんなもの、一切ないわけだし。


「でも、崎田君の気持ちはわかるんだよな。

俺だって、梨華の相手に同じことを思っているから。

奥さんがいるのに、なんで梨華と会うんだ?

奥さんだけを愛していればいいだろう?って」


秀哉の口から梨華の名前が出ると、やっぱり胸がズキンと痛い。


こんなこと、もう慣れっこのはずなのに。


「その男に、なんで梨華と会いたいんだって聞いて。

その理由が、"梨華といるとホッとするし、楽しいから"だったら、俺は絶対に納得出来ない。

梨華を都合良く利用するなって言いたくなる」
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