私たちの六年目
「俺のそういう複雑な気持ちを、菜穂はわかってくれてるのか。
いつもと変わらない態度でいてくれただろう?
きっと、俺と気まずくならないように気を遣ってくれてんだなって。
だから、菜穂の方から何か言って来るまでは、俺からこの話をするのはやめておこうって思ったんだ」
私が何も言わなかったのは、気を遣ったからじゃない。
秀哉の方から何か言ってくれるのを待っていただけ。
お互いに相手の方から何か言うのを待っていたんじゃ、この話にならないはずだよね……。
「今は?」
「ん?」
「今のキスも、した後で複雑?」
帰ろうとする私を引き止めて。
崎田君に渡したくないって言ってキスをしておいて。
説明がつかないって終わりにするのかな……。
「菜穂は?」
「え……?」
「お前はどうなんだよ。
俺とキスして嫌だった?」
まさか聞き返されると思わなくて、ドキッとした。
「い、嫌って言うか……」
「どうして俺のキスに応じたの?」
「ちょ……っ」
ちょっと待ってよ。
そんなの答えは一つしかないのに。
今ここで言えって言うの?
梨華のことが好きだってわかっているのに?
「わ、わかんないよ。
応じたのは……。
い、嫌じゃなかったから……じゃない?」
いつもと変わらない態度でいてくれただろう?
きっと、俺と気まずくならないように気を遣ってくれてんだなって。
だから、菜穂の方から何か言って来るまでは、俺からこの話をするのはやめておこうって思ったんだ」
私が何も言わなかったのは、気を遣ったからじゃない。
秀哉の方から何か言ってくれるのを待っていただけ。
お互いに相手の方から何か言うのを待っていたんじゃ、この話にならないはずだよね……。
「今は?」
「ん?」
「今のキスも、した後で複雑?」
帰ろうとする私を引き止めて。
崎田君に渡したくないって言ってキスをしておいて。
説明がつかないって終わりにするのかな……。
「菜穂は?」
「え……?」
「お前はどうなんだよ。
俺とキスして嫌だった?」
まさか聞き返されると思わなくて、ドキッとした。
「い、嫌って言うか……」
「どうして俺のキスに応じたの?」
「ちょ……っ」
ちょっと待ってよ。
そんなの答えは一つしかないのに。
今ここで言えって言うの?
梨華のことが好きだってわかっているのに?
「わ、わかんないよ。
応じたのは……。
い、嫌じゃなかったから……じゃない?」