恋の宝石ずっと輝かせて2
「ユキ、この夏はどうするつもり? 塾の夏期講習に参加するの? ユキは英語が完璧だから他の教科に集中できていいな」

 仁は褒め言葉のつもりでそんなことを言ったが、却って逆効果だった。

「いくら英語が話せたって英語の勉強をやらないわけにはいかないわ。日本人が国語を勉強するのと同じことでしょ」

「まあ、そうだけど、でもなんか話せるだけで一目おいちゃうっていうのか」

 苦笑いをするように、仁はユキに気を遣う。

「ねぇ、仁。もうやめて。仁はあれ以来、腫れ物に触るみたいに私のこと気遣ってくれるけど、私たち、ここらで離れた方がいいんじゃないかって思う」

「なんでそうなるんだよ。僕はただ好きでユキの側にいるだけだし、僕が唯一、君のこと理解できるから……」

「だから、それがやっぱりダメなんだって今になって気が付いたの。私、仁に甘えすぎていた。でもそれって自分がトイラとの想い出を忘れたくなくって、仁を利用してたことになる。さっきだって、こんなに仁のお世話になってるのに、自分のことしか考えられなくって仁の気持ち踏みにじってしまった」

 ユキは視線を落とし、手持ちぶたさに飲み物のストローを指先でつまんでいた。

「そんなことないよ。まだあれから一年しか経ってないじゃないか。僕はまだまだ時間がかかると思ってる。それに……」

 仁はその後の言葉をいい出せなかった。

 そこにはトイラはもう居ないんだと、いつかは必ず忘れる日が来ると信じている自分がいることをこの場で口にはできなかった。

 仁の方こそトイラの死を利用している自分に負い目を抱いてしまう。

 暫く沈黙が続いた。

 これでは埒があかないとユキは正直になることにした。

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